つれづれなる日々

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2010年4月の日々


04/30/2010(金)

あなざ事情団「三人姉妹」名古屋公演を観劇された漫画家の須賀原洋行さんが、「本当にあったゆかいな話」という雑誌に観劇記を描いてくださった。きょう発売。須賀原さんがブログに、出演者の似顔絵を「最初はかわいいキャラ系の似顔絵を作成。」しかし「ラフな下描きに顔を入れてみると、どうもあのパワーあふれる演劇のイメージに合わない。」「で、結局、パワー優先のデフォルメ系似顔絵に……(汗)。」と書かれていて、かなりキンチョーしてページを開いてみたところ、私たちの特徴をものすごくとらえたインパクトある絵で、すごいですねこれは!

そしてきょうは、観劇して、ご飯食べて、観劇して、ご飯食べて、アイリッシュパブでビール飲んだ。


04/29/2010(木)

公演とか稽古がないと、なんにもしないで1日なんとなく過ごしてしまうことも多い。きょうも、ごはん作って食べた以外はだらだらしたり昼寝をしたりしていたかな。あぁ、そうだ、長いこと中断してしまっていた翻訳を少し進めた。

夜は、友だちと3人で、他の友だちに教えてもらったバーで飲んだ。なんかきゃーきゃーはしゃいで飲んじゃった。なんだろねこの解放感は。


04/28/2010(水)

Twitterで読めるダライ・ラマの言葉が、しみじみといい。これで英語の勉強をするといいんじゃないだろうかね。

英語の勉強といえば、サミュエル・ライターさんのKABUKI WOOGIEも、いい教材になると思う。


04/27/2010(火)

キラリ☆ふじみに『LOVE The World 2010』を見にいった。LOVEを見るのは、六本木、神戸に続いて3度め。まったく同じ作品というわけではないけれど、そのときどきのLOVEなんだと思っている。

真っ白い舞台に真っ白いLOVEの文字が投影されて開演。スクリーンに掛かっているジョーゼットからの連想もあるんだろうと思うけど、ケーキのような甘い甘いラブを勝手に想像する。この作品は、たぶん、美術館で絵を見ているときのように、見ている自分のそのときの状態がものすごく反映される作品、そういう個別的で自由な受け取り方をさせてくれる作品なんだと思う。

だれもいない舞台に1人、また1人と人間が出てくる。楽しそうだったり、憎みあっていたり、バラバラだったり、疲れてしんどそうだったりする人々を、その変化を、ハラハラしたり、にやにやしたり、小さな音に耳をすましたりしながら見る幸せ。みんながぐるぐる走って客席まで風が吹いてきたときは、すっと気持ちがよかった。もう若くなさそうな男の人が必死で踊ったり声をあげたりするのには、胸がきゅんとなった。暴力は嫌いだけど、ぶつ人の気持ちもわかって、困った。眉の凛々しい男の人の、バックスイングの一切ない動きをほれぼれして見た。

特に私の目を引いたのは、なべを持って出てきた女の人だった。この人だけ、他の人と関係をとらなくても最初から1人でしっかりそこに「いる」ように見えた。その人が座ったまま頭でリズムをとっていたり、踊り出してみんなを誘ったり、また踊り出してみんなを誘ったり、1人で立っていたりするのを見て、なんだか涙が出てくる。気がつくと私はその人ばかり見ていたように思う。なんだかこの人って「おかあさん」っぽいなぁと思っていたら、後半になって、彼女が「オンマ ヨギイッソ」(おかあさんはここよ)と言った。小さい子に話しかける口調だ。あぁやっぱりお母さんなんだと思った。また涙が出てきた。そして涙を流しながら気がついたのは、私の母が死ぬ前入院していた病院にハナミズキが咲いていたので私はハナミズキが咲くと母のことを思い出すんだけど、いままさにハナミズキの季節で、けさも家から駅まで歩く道のハナミズキを見て切ないような気持ちになっていたこと。きっとそういう理由で、「お母さん」的なものがなつかしいというか、そういうものに惹かれやすい状態だったんじゃないだろか今日の私は。まぁ、お母さんみたいといっても、その人もずっとお母さんみたいだったわけじゃなく、いろんなふうに見えたんだけどね。

そして舞台の上から人がいなくなると、今度は音楽と照明が、いままで人がやったことをもう1回舞台上で展開した(ように私には見えた)。その途中、「アイラブユー」という声とともに客席に緑色の光が射してきたとき、私はまた涙が出た。舞台で「アイラブユー」と言い合う人々を見ていた後に、この作品自体から客席にいる私に「アイラブユー」と言われた気がした。

見終わった後、上に書いたようなことが一気に身体じゅうにいっぱいになったんだと思う。しばらく言葉が出てこなかった。


04/26/2010(月)

ゆうべ11時前に寝て、どうせ2時とかに起きてしまうんだろうと思ったら朝9時までぐっすり寝た。これで最近の「夜眠れない、朝起きれない」生活が終わってくれたらものすごく嬉しい。

遠くの友から、新生児の写真つきの手紙が届く。あのぽんぽこりんとまんまるいお腹の中にこんな可愛い子が入っていたんだね。

おとといの劇評セミナーのことを、きょうも考えた。けなす評にせよ誉める評にせよ、どれだけ精密にその作品を見てそう言っているのか、というところを見て、有効かどうか判断する(一字一句このとおりじゃないけど、こういう意味だと私はとらえました)、という武藤大祐さんの言葉が、ものすごく深く私の胸に突き刺さっている。


04/25/2010(日)

すごい昔から友だちで、お互いたぶんお互いの仕事をものすごくリスペクトしてるんだけど、会って話すとなんだか傷つけあってしまって、しかも自分の言動で相手が傷ついたことで自分も傷ついてしまう、というものすごくめんどくさい間柄の友人がいる。甘噛みと本気噛みの区別がいつまでたってもつかない子犬のようです私たちは。こういうことを書くとまたこれで傷つくんだろうけども、たぶん今後も変わんないんだと思うこの関係性は。でもものすごく大切な友人であることは変わらない。その一点で、つながっている。


04/24/2010(土)

アゴラで行なわれているワンダーランド劇評セミナーを聞きに行く。講師陣が三人三様(司会者も含め四者四様だな)なのがまずとても面白かったし、しかもそのかたがたがいま考えていることをぶつけあう中で考えが深まったり、より明確になったり、かわったりしていくさまをリアルタイムで見られた気がして、すごく有意義で興味深い会だった。

その後、セミナーでたまたまあった友人やきょう初めて知り合った人と、カレーを食べてビールを飲んではなしていたら、終電近くなった。最近あんまり人と話をしてなかったけど、きょうは一週間分取り戻すくらいはなしたと思う。


04/23/2010(金)

テレビ見て、編み物して、洗濯して。

なんでこんな時期に編み物をしているのかというと、冬に使っていた手編みの「マフラーにも帽子にもなるもの」に問題点がいくつかあり(メリヤス編みのためくるくる丸まってしまう、頭の部分が幅がなさすぎてすぐ後ろにずりおちてしまうなど)、どうしても気に入らなくてこないだほどいて毛糸玉にしてしまったので、編みなおして洗ってから仕舞いたかったから。今度はガーター編みにしたので平らになった。幅を充分取ったら今度はちょっと大きすぎてしまったので帽子の部分はそれでいいとしてマフラーになるところは目を減らした。もうすぐ完成。


04/22/2010(木)

1時に出掛けるはずが、朝10時に変更の連絡があって3時に家を出ればいいことになり、2時間余裕ができたはずがそうなったらなったでやっぱりギリギリになってしまうのであった。

出掛けた先はアゴラ。「東京ノート」自主稽古。きょうは広い場所が使えるので、椅子など並べて動きながら2時間みっちりやる。まだ演出がついていないからなんともいえないけど、相手役が別の人だとやっぱり自分もかわってくるね。全体の大きな絵はかわらないんだけど、細かい関係性は、かわる。そういうところも面白い。


04/21/2010(水)

寝たり、洗濯したり、毛糸を編んだり。

ご飯も作った。砂肝と新タマネギを甘辛く煮たり、白菜とシイタケとカリフラワーをホワイトシチューにしたり。


04/20/2010(火)

きょうもキラリ☆ふじみ。


04/19/2010(月)

キラリ☆ふじみに、LOVE The World 2010の照明の仕込みのお手伝いに行く。


04/18/2010(日)

1月から4月上旬までツアーが多く、メールは旅用のネットブックで読み書きしていた。その間に送受信した分が自宅のデスクトップに溜まって未読3,000件とかになったままだったのを、きょうようやく整理する。パリでたいへんだったこととか思い出してつらくなるかなと思ったけど、そんなこともなく。


04/17/2010(土)

午後から「東京ノート」の自主稽古。3時間以上ガッツリやる。その後、「ヤルタ会談」の衣裳の整理。

そして夜は、青年団リンク・口語で古典を観劇。


04/16/2010(金)

朝起きると、めまいの予感。首がガチガチ。きのう編み物なんかしたのが悪かったのか。

それでもなんとか、キラリ☆ふじみに、東京デスロックのLOVE The World 2010の稽古を見にいく。通し稽古を見て、
「美術館に行って絵を見ると、作者の意図とかとはまったく関係なく、いまの自分の状態が映し出されていると感じることが多々あるが、この作品も同じで、投影されている自分自身の状態を見ているかのようだった」
と感想を述べたら、そのあと演出助手の人が、
「私、5年前にアゴラ劇場で『東京ノート』を見ました。そのときにフェルメールの話をしてらっしゃいましたよね?」
と話しかけてきた。2004年の青年団若手公演をご覧になったんですね? そのときわたしは学芸員串本の役でした。なんか、話し方で思い出したんだって。

稽古終わって、LOVEの人たちと飲む。一番好きなお酒はなんですか、と韓国男子に聞いたら、チュクトンジュという答え。竹に入ったお酒だという。あぁ、パプトン(炊飯器。さっき覚えたばかり)のトンですね、と言ったら当たりだった。

みぞれ降る中、終電で帰る。


04/15/2010(木)

用事でアゴラに行き、タッチして帰ってくる。


04/14/2010(水)

好きな映画のDVDを見て一人で英語を勉強している友だちがいて、ときどき質問にメールで答えてるんだけど、1月にもらったメールに、やっときょう返信した。1月2月はフランスだったし、帰ってきてからはあなざ事情団の稽古と公演だったから、こんなに遅くなっちゃった。

そのメールを書いてて調べてて知った新しいコトバ。「All's fair in love and war.」。Fairはもちろんフェア・プレイのフェアで、「恋愛と戦争ではなんでも正当」つまり、なんでもあり、という意味。愛は容赦しないからな。


04/13/2010(火)

定期メンテナンスのため歯医者に行く。特に問題なし。

昼食に入った定食屋さんは、ご飯と味噌汁のおかわりが自由にできる店。向こうのほうでご飯のおかわりを頼んだ人の態度になんとなく違和感を覚えたのは、後で考えると、英語でいうところのplease的なものがまったくなかったからだった。頼むときは、「おかわり」と一言のみ。「お待たせしました」とお店の人が持ってきたときには、無言。目線も合わせないしうなずきもしない。なんか、そんな大人ってカッコ悪いなと思った。

午後、「東京ノート」自主稽古。私は美術好きのお姉さんの役で、義妹とだいたいペアで出てくるんだけど、その義妹の役が、いままでずっと同じ人だったのが今回別の人にかわったので、2人で台詞の練習をした。「東京ノート」は1994年からやってるけど、いまだに飽きない。いつも新鮮。


04//2010(月)

着替え3セットで行ってたツアーから帰ってきて、浮かれて春っぽい薄着で出掛けたら、寒くてふるえあがる。


04/11/2010(日)

4回めの公演も、お客様の名演技続きで無事に終わり、さっくりバラして、打ち上げ。ここでもまた、千種で『家宅か修羅か』に出演してましたよねと言われ、別人ですと説明。そんなに似てますかね? たくさんはなして、最終の1つ前ののぞみで帰宅。


04/10/2010(土)

ゆうべ帰りに洗った干していった衣裳もタオルもぱりぱりに乾いている。洗濯的には嬉しいけど、楽屋や劇場が相当乾燥しているということでもあるので、水分をとったりうがいをしたりして、のどのケアにつとめる。2月にフランスで本番中に突然声を枯らしそうになった悲劇を、二度と繰り返したくない。

アップしたり、ワークショップ発表の稽古をしたり、本公演の自主稽古をしたりして、マチソワ2公演無事終了。このツアーで結構体力がついてきてるのかもしれない。

ワークショップの参加者の皆さんとは、おととい初めて会ったんだけど、初日の無事あけた今日になってお互いやっと少しうちとけてきて(私も人見知りなので、急になかよくとかなかなかできないので、ちょうどいいペースでした)、Twitter見ましたとか、チラシの絵がいいと友だちに言われましたとか、実は昔マチコさんに会ったことあるんですよとか、「三人姉妹」の感想とか、いろんな人が話しかけてきてくれるようになった。そのタイミングがほぼ同じなところがちょっと面白かった。


04/09/2010(金)

アップして、ゲネプロして、19:30開演。

終演後にお客様とはなしていて、
「津で『東京ノート』を見ました」
と言われる。ありがとうございました(福岡でも長野でも、「『東京ノート』見ました」というお客様がいらっしゃった。ありがとうございます)。そしたらそのかたが続けて、
「千種(名古屋)で、『火宅か修羅か』も見ました」
とおっしゃるので、あの和服の女将は高橋縁さんという別人です、と言うと、なかなか信じてもらえなかった。まぁ、うちの親もゆかりさんと私を舞台で見間違えたからなぁ。

今回の公演は、あなざ事情団の「三人姉妹」の後もれなく、ワークショップ参加者による「オリジナル三人姉妹」の上演がついている。で、明日の土曜日は、来れない参加者が2人いるので、淳子さんと私が代役で出ることになった。私は、「ダンス三人姉妹」の村娘Bをやるので、衣裳にグレーのパーカーがいるねとはなしてると、舞監さんがちょうどいいのを着ていて、明日それを貸していただくことになった。

夜は、あなざ事情団とスタッフと、6人で飲む。現地の人のオススメの店は、美味しくてリーズナブルで、言うことなし。そしてホテルで特殊工作(追加で小道具を作成)。


04/08/2010(木)

長野駅から特急しなの号で名古屋へ。車窓から見える桜の花が、「かたいつぼみ」→「ちらほら咲き始め」→「満開」→「散りかけ」とかわっていくのを、面白く見る。桜前線を逆に南下してってるわけかね。中央本線は、たぶん子供の頃の家族旅行以来っていうくらい久しぶりに乗った。

予定通り午後1時に劇場入りすると、舞台(というか客席)の仕込みができあがっていた。照明で参加している夫と、一週間ぶりに再会。

福岡公演の会場はギャラリー、長野は古い結婚式場だったので、劇場での公演は久しぶりだ。紙芝居をやる位置を決めたり、箱馬重ねて紙芝居の台を作ったり、衣裳を広げたり。4時くらいから照明とあわせながら場当たり。この会場では椅子に肘掛があるため、2、3段取りを変更する。怪我の功名というか、ノンナ・ペトロワがパ・ドゥ・ドゥの相手役の手はそえものにすぎないと悟るシーンは今まででベストのやり方が見つかった。

夜は、ワークショップ(今回、なおこさんが数日前から名古屋入りしてワークショップをしている)参加者の皆さんに、「三人姉妹」冒頭部分を見ていただく。その後は、ワークショップを見学して、ここはこうしたらいいと思うとか意見を言う。しかし、3チームに分かれての「オリジナル三人姉妹」、どのチームも特色があって、どのチームも面白いなぁ。


04/07/2010(水)

あまりに私が家にこもっているので、心配したらしい父から、運動不足解消のため昼食はきのう行って定休日だった店に行こうと誘われるが、きのう行った店って徒歩片道30分とかなので、即座に断る。運動するときはしているからいいんだよと言っても、毎日身体を動かすのが大事とかなんとかまだぶつぶつ言っていた。

明日からまた「三人姉妹」ツアー(名古屋)なので、荷造りに備えて洗濯。昼食はチャーハンを作った。午後は、この日記を書いたり、昼寝したり。夕食はさばの味噌煮。味はおいしくできたけど、骨が多くて食べにくかった。すんません。


04/06/2010(火)

朝食食べて、寝て、11時頃、「長野土産を買って、近くの店で昼食」という予定で父と出掛ける。長野土産は無事購入したが、昼食の店は定休日。近くのスーパーで食材を買って帰宅。昼食に焼きそばを作る(どれだけ焼きそばが好きなんだおとうさん!)。市販の焼きそば用麺が3個入りで多すぎるため、1食分ずつになっているラーメンの麺を買ったのが失敗で、団子のような焼きそばになってしまった。

昼食後、茶の間は寒いから、寝室で暖房つけて布団に入ってメール読んだりなんだりしているうち、ケータイをにぎりしめたまま眠ってしまう。食っちゃ寝、食っちゃ寝だなぁ。

夕飯は、信州牛の店に連れていっていただく。小中学校の同級生がやっている店で、○○先生が年末に亡くなったとか、△△先生がお元気なうちにまた同級会をやらないとねとか、そんな話もする。


04/05/2010(月)

「寝倒す」宣言して、11時くらいまで寝る。父が、お世話になっている近所のいえに挨拶に行けというので、行く。

昼食は、父のリクエストで焼きそば。昼食後、もう1軒お世話になっているお宅があるから一緒に挨拶に行けというので、一緒に行く。父は、思いやりのある良い人なんだけれど一般的な「いいお天気ですね」的な人付き合いが苦手なほうで、割と何でも一人で決めて一人でやってしまうタイプなので、こうやって周りの人に頼ったり、気にかけてもらったりしていると知り、親不孝娘の私は、少し安心した。

夕飯は、ポテトサラダとれんこんきんぴらと、あと何か一品つくったと思うけど、思い出せない(4/8記す)。父と二人で、エビスビール350mlを6缶。


04/04/2010(日)

長野駅で、名古屋行きのJRのチケットを買ったり、小道具のあんぱんを買ったり(きのうの公演で袋が破裂してしまったので)してから、バスで善光寺方面に向かう。川中島バスの英語アナウンスが、いつもいえから空港に行くとき乗る神奈川中央バスの英語アナウンスと同じ女性の声で、ビックリ。

事務所でメールチェックさせてもらった後(実家にはインターネット環境がないし、私の持ってきてるネットブックはモデムが内蔵されてないので電話線ではつなげない)、蔵春閣に。中では、なおこさんのワークショップが始まっていた。ワークショップを横目で見ながら、軽食をとったりアップしたり。予定では3時までにはワークショップが終わることになっていたけれど、参加者が多かったこともあって、終了すると3時半、つまり開場時間になっていた。なしくずし的に開場し、4時開演。きょうもたくさんのお客様。6年生のお兄ちゃんが4年生と2年生の妹を連れて、子供3人で見に来ていたのが印象的だった。きょうも、素直な反応のノリの良い客席だった。長野県人は気むずかしい、というのは私の偏見だったみたいだ。改めなくては。というか、気むずかしいのは私だけなのかもしれない。

こぢんまりした気持ちの良い打ち上げを、私だけ早く抜けて(だって終電が早いんだもん)帰宅。


04/03/2010(土)

善光寺下(ぜんこうじした)の駅から会場に向かう道は、坂がきついし、人家の庭ですかみたいなところを通る道だし、なまじ土地勘があるから歩いてしまったけれどなかなかに心細い。明日は長野駅からバスに乗ろう。

床は、パンチカーペットを安くで借りられることになったとのこと。なかなか良さげなライトグレーのパンチカーペットだ。淳子さんが中心になってテキパキ貼り込む。

照明のほうは、私と、お手伝いのスタッフのかたで仕込む。4方向から舞台を照らしたい、と昨日お願いしていて、それでどうして3種類各2台の灯体(フレネル1種類、凸2種類)が用意されているのかと軽くパニックになり、照明家である夫に電話でアドバイスを求める。舞台用には予定通り4灯仕込み、開演前に使う別室にもクリップライト3台仕込む。

きのう稽古したときに、紙芝居で、決闘のソリョーヌイのTシャツの文字の2行めが、(もともと上半分しか描かれたないんだけど)紙芝居を置いているイーゼルの横木のかげになって見えないと指摘されたので、それも直す。などなど細かい作業をして、稽古もして、17時過ぎに解放される。軽く食事をしたりして、19時開演で初日。

長野県人(私を含め)は、カタいから、静かで硬い感じの客席になるんではないか。と私は思っていたのだが、まったくそんなことなく、むしろとても素直に驚いたり笑ったりして楽しんでくださるお客様だった。

終演後は、あなざ事情団とうちの父とで、権堂の居酒屋で食事。主催者のたまみさんに教えてもらった、「お蕎麦の食べられる居酒屋」は、郷土料理がいろいろあるし、働いている人たちがフレンドリーでテキパキしていて気持ちがいいし、値段もリーズナブルで、大当たりだった。


04/02/2010(金)

小田急線が強風のためとかで遅れてやきもきするが、なんとか間に合い、早朝のバスで長野に向かう。新宿から長野まで4時間。2,500円。2時間くらいは寝たかな。

善光寺の近くで昼食をとり、今回の公演の主催者と合流し、公演会場へ。城山(じょうやま、と読みます)公民館別館「蔵春閣」(ぞうしゅんかく)。かつて公民館結婚式がさかんだった頃、ステキな結婚披露宴のできる公民館として建てられたらしい。いまはもう使われていなくて、がらんとした空間。壁面のモザイク画や天井のシャンデリアが往時の姿をしのばせる。

舞台(というかアクティングエリア)の位置を決めるのに、けっこう時間がかかる。今回、できるだけこの場所を現状のまま使うということで、そうすると、床面のコンセントを避けたり、天井灯の位置が関係してきたりで、なかなかすぐにはここと決まらず、妥協するところは妥協して舞台位置を決定。すでに用意されていた客席用平台(連結したりあしを付けたりしてあるもの)の配置、さらに増設する客席の配置などを決める。「三人姉妹」では開演前にちょっとした趣向があるのだが、それを行う場所も、ここがいいかあそこがいいか、二転三転して決定。

それから、段取り確認。このときには気にならなかったのだけど、その後に実際に本番どおりに動きながら1幕をやってみると、つるつるした石のタイルの床の冷たさやじゃりっとする感じ(長年の間に砂や土のよごれが堆積したと思われる)に、気持ちがどんどん沈んでしまう。この作品では、床に手足をついたり寝転がったりすることが多い。その床が、室内ではなくまるで道路のような感触で、やっていてなんだか惨めな気持ちになるのである。

「ごめん、申しわけないんだけど、床がこのままだとわたし、ものすごくモチベーションがさがる」
お前何様ですか的な発言になっていることは自覚しているんだけども、感覚的に、この床でがまんするよりもなんとかしてもらったほうが絶対良い結果になる、という思いもあり、言ってしまった。もう夕方だったんだけれど。

パンチカーペットやリノリウムはない(借りると有料になってしまう)が、3てんなんメートル四方のじゅうたんがあるのでそれを敷きましょうということになる。

照明のことも気になった。演出のなおこさんはこのままでも良いと言うが、客席に比べて舞台がどうしても暗めに思え、これも主催者のかたに、別のホールから機材を持ってきてもらうことにした。正方形の舞台の4つの角の延長線上から、合計4灯。そのうち2灯は舞台後方にあるバルコニー部分に2メートルのスタンドを立て、もう2灯は反対方向の客席の後ろに4メートルのスタンドを立てて設置する案。明日機材を持ってきてもらって、実物を見て決めます。

そんなこんなで7時に終了。じゅうたん等の到着を待つ皆さんを残し、1人長野駅に向かう。今回、私だけ実家泊です。


04/01/2010(木)

早朝の飛行機で帰る。昼頃帰宅。洗濯などしてから、夕方アゴラ劇場に向かう。ハル大学(イギリス)の学生さんたちの「カガクするココロ」の公演を見るためだ。平田オリザの戯曲の英訳は私が担当したんだし、今回出す日本語字幕の手伝いも少ししてるので、ドキドキしながら見始めたけれど、すぐに、イギリスの若い俳優たちが舞台上につくり出す不思議にリアルな物語にひきこまれていった。

不思議にリアルといったのは、たぶん、まぎれもなく翻訳劇で、「ものすごく日本的」でも「ものすごくイギリス的」でもない、ちょっと抽象度のあがった世界だったからだと思う。原作をきちんとリスペクトし、その一方自分たちで変更した部分に関しては最後まで責任をもって変更しきっていて、破綻がないし、つくり手の態度としてものすごく気持ちがいいと思った。

終演後、演出のキーナン先生や出演していた学生たちと夢中で話す。気づいたら11時過ぎていて、あたふた帰宅する。明日から「三人姉妹」長野・名古屋ツアーなので。


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