つれづれなる日々

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2014年7月の日々


07/30/2014(水)

「三人姉妹」熊本公演に向けて、ミーティングと稽古。


07/29/2014(火)

成田でみんなと別れ、バスで帰宅。眠っていて最寄り駅で降りられず、一駅電車に乗って帰るはめに。


07/28/2014(月)

荷造りして、掃除して、最後の昼食を食べようと街に出てみると、昨日までの賑わいどこへやら。閑散としている。あちこちの劇場の前にはトラックやバンがとまって、照明機材の搬出などをしている。ちょっとした広場にレストランが椅子とテーブルを広げていたとこも、きょうは8軒中2軒しか営業していない。

ご飯食べたあと、閑散とした街の中を歩いてみた。いろんな友だちが入れかわりたちかわり滞在していたアパートは、内装工事が入ってるみたいであいた窓の中で職人さんたちが働いているのが見えた。歩道の手すりに隙間なく掲示されていた公演ポスターも、もうなかった。終わったんだなーと思う。

大家さんに鍵を返し、バンでマルセイユ空港へ。そしてパリから成田へ。


07/27/2014(日)

アヴィニョン公演最終日。アヴィニョン演劇祭自体もきょうでおしまい。終演後、劇場ロビーで軽く打ち上げ。「次はパリで」とフランス側スタッフに別れを告げる。

23時からは法王庁の中庭に、Corps de motsというコンサートを聴きにいく。ジャンヌ・モローが出演するというので取ったチケットで、TETES RAIDESというバンドについては何も知らないまま行っちゃった。

その後、フェスティバルバーで、座組みの人やフェスティバルのスタッフらと語る。


07/26/2014(土)

ジャンヌ・モローなしで開催されるという明日のコンサートについて、払い戻すか戻さないか、やっぱり払い戻さず行こうと思うてなことを、何度か言っちゃったんだろうね。友だちに「(話が)しつこいよ」と言われた。しつこいんだよね私。

夜、友だちの間で評判のよかった「CASINO」というオフの公演を見た。司会者と4人の演者が、即興で進めていく公演。


07/25/2014(金)

ずっと気になっていたオフの演目Les Chairses de George et Georgietteを見に行く。10:15開演。10:05頃劇場の受付に行ったら、ジョルジュ本人が受付カウンターの中にいてチケットを売っていた。ジョルジェットもそばにいて、携帯でだれかと話したりしてた。出演する俳優が、衣裳とかつけた状態で、受付をしていたってことです。なんでその人ってわかったかっていうと、この二人が街中で椅子に座って通行人に手を振ってるのをよく見かけてたから。オフの人たちはそうやって、公演以外の時間は宣伝で忙しくしているようです。チケットカウンターは実は劇場裏(楽屋口)だったらしく、「それではこちらにどうぞ」と係りの人に案内されぞろぞろと劇場入口へ。中は、渋谷ジァンジァンみたいな空間で、劇もジァンジァンで毎月何日にやってますみたいな30年前の感じの劇だった。ときどきストップモーションが入り照明も変わる演出とか。

曇って涼しい日だったので、法王庁のあたりを散策。観劇とか人に会うとか以外でただぶらぶらするって、今回、きょうが初めて。裏の公園のほうから、アヴィニョン橋も見えた。お土産や服などの店もちょっと見たけれど、何も買わず。

食料品の買い物をして帰宅。食事して、1時間弱うとうとしてから、劇場へ。たった一言の台詞が、きょうはなんだかふわっと跳ねて日本昔話みたいになったな、と思っていたら、ダメ出しされた。声が大きくなりすぎ、抑えたほうが観客にとってミステリアス、とのこと。

いったん帰宅して食事して、10時から「マリア・ブラウンの結婚」観劇。先日「FOUNTAINHEAD」を見た会場だ。また、開演前から舞台上に人がいる。なんだか話し合ったり、客席をじっと見つめたり。マリア・ブラウン役の人はずっとその役だけど、それ以外の人たちは、場面によって複数の役を演じていた。どうも思っていたのと話が違うようだとぼんやり考えていたが、そのうち目の前の展開に集中して気にならなくなった。後で思い返してみると、映画が原作、「〜の結婚」と聞いて私が思い浮かべていたのは「ペギー・スーの結婚」というアメリカ映画で、そりゃ全然違うはずだよ。


07/24/2014(木)

先日子供向け作品を見に行った劇場に、11時開演のオリヴィエ・ピィの「La Jeune Fille, Le Diable et le Moulin」を見に行く。隣の席になったご夫婦は、スイスから車で来たと行っていた。アヴィニョンにはいつまでいるの?演劇を見に来たの?みたいな話になったので、フェスティバルのパンフレットを見せて、この「室内」という公演に出てるんです、チケットはもう売切みたいだけど私たち9月にパリでも公演するんです、と言ったら、パリに見に行くよって。

夜は、オフの、ホドロフスキーが脚本を書いたらしい、「腹話術師の学校」というのを見に行った。うちの近くの劇場が窓口になってるんだけど、会場は別で、送迎バスに10分くらい乗ったと思う。「室内」の劇場に行く道と途中まで一緒だった。作品は、等身大の人形が空から落ちてきて何人もの俳優がよってたかってその一体の人形を操っているところとか、ひきつけられるところ興味深いところがいくつもあったけれど、「言葉がわかればなぁ」とそれがとても残念だった。


07/23/2014(水)

2回めで最後の休演日。同宿の人たちは早くに出掛けていった。私はとりあえず市場に買い物に行き、帰ってきてご飯を作って食べたら二度寝してしまい、午後になって少し出掛けたのみ。服の買い物(サイズが豊富なので欧州に来たときにまとめて買うようにしている)するなら今日、と思ったのに、夏物セールはもう終わりかけていて、どの店も売り場のごく一部でしかセールをやっていなかった。残念。

18時からMATTER観劇。4人の女性ダンサーが水のある舞台で白い衣裳で踊る、という前知識だけで行った。会場に用意されていた英語資料(振付家のインタビュー)を開場中に読んだら、意図したこと、舞台で起こることが具体的に書かれていて、公演が始まってみたらまさにそこに書かれていたとおりに進んでいった。あの資料は、公演を見終わってから読めばよかったと後悔しても後の祭り。ロメオ・カステルッチの「ヘイ、ガール!」を見たときも思ったんだけど、私は「女性でつらい、女性は大変」、という思いをあまりしてきていないらしくて、そういうのを見せられても、共感がしにくい。想像力があるのだから、共感できないことはないと思うんだけど、どうしてつらいのか、何が大変なのかのところを飛ばされてると、のっかっていきにくい。

20時からは、最近注目を集めているというベルギーの若い演劇人Fabrice MurgiaのNOTRE PEUR DE N'ETREという公演。開場を待つ人の列の中に友人を発見。一緒に並び、別の友の恋の顛末など聞く。開演すると、前面を紗幕で覆った中でひきこもりの人たちが描かれる。しゃべっている人の顔が紗幕にアップで投影されたりする。3部構成になっていて、2部になると紗幕が取り去られ、舞台上の人たちもモノローグでなくお互いにリアクションを始める。言葉(フランス語)がわからないので舞台上で何が展開しているのか本当にはわからないんだけれど、だれの視線がどこに向かっているとか、この人は何を気にしているとかはわかる。そういう興味だけでも飽きずに見ることができた。


07/22/2014(火)

11時からのSUJETS A VIF (Programme C)という2本立て公演を見る。前半はテキストの朗読とバイオリン。後半のBUFFET A VIFというのがぶっとんでました。開演前に、「安全確保のため……」と前のほうの観客に保護ゴーグルが配られて、何が起こるのかと思っていると、2人の男がリノリウム敷きの舞台の中央部分にゴムマットをバーンバーンと音をさせて敷き詰める。次に、エアキャップに包まれた家具(隣の席のおじいさんが、「あれが(タイトルにある)buffetだよ」と言っていた)を運んでくる。やっとのことで舞台にあげて、開梱しようとして1人がもう1人をエアキャップで巻いてしまったり、布拭きしてたらなぜか家具が爆発して煙がもうもうと出てきたり、前に傾げたり後ろに傾げたりしているうちに仰向けに倒してしまって起こしてみたら鏡が全部割れちゃってたり、1人が中に閉じ込められて斧で側面を壊して脱出を図ったり。最後には二人でその家具を木っ端微塵にしてしまう。その途中で、家具の隙間にはまったり、斧でバンバン叩くリズムに合わせて身体がうごいたり。気持ちのいい風の吹き抜ける、高校の中庭のステージで見る実験的な作品。

こちらに来てからアパートでも劇場でもチケットセンターでもWiFiが私だけつながらず、携帯電話だけで世界に繋がっている生活。特に何か締切のある仕事をいましているわけじゃないのであんまり困ることもなくきたけれど、10月のイデビアン・クルーの公演の先行予約が今月27日までだった。でも、アヴィニョンに来る前にクレジットカードもなくしちゃって今ないし、もうしょうがないあきらめるよと言ったら、友だちがかわりに取ってくれた。ありがとう。代金を1万円札で支払っておつりをユーロでもらったので、ユーロ現金も増えて一石二鳥だったよ。

今日帰国する友を見送ったあと、友だちのおすすめの、NOTRE PEUR DE N'ETREという公演の明日のチケットを買うため、チケットセンターへ。フランス語の勉強のために覚えたレ・ミゼラブルの曲COMME UN HOMMEに、notreという単語もpeurという単語も出てくるので、なんだか嬉しい。チケットが買えたので、オフのホドロフスキーのやつの劇場に行って、明日のチケットを明後日に変更してもらう。

そして、自分の公演へ。

いったん帰宅して食事した後、オフの、Hangドラムのコンサートへ。行ってみたら入場無料だった。Hangの音は、美しいけれど、聞いているとどうにも悲しいさびしい気持ちになってくる。たまたま今日の私がそうだったということかもしれないけれど。それで、始まる前は帰りにCD(15ユーロで販売していた)を買って帰ろうと思っていたんだけど、CDは買わずに、良い音楽ありがとうと5ユーロかごに入れる。

12時過ぎに帰宅してからフェスティバルバーに行き、友だちとしゃべって2時帰宅。


07/21/2014(月)

朝10:15からのオフの公演を見に出掛けるも、劇場が見つからず、スーパーで買い物して帰る。パンを買おうとレ・アルに行ったらお休みだった。ここは日曜に営業して月曜は休みなんでした。忘れてた。前の広場の角のパン屋さんでバゲットを買う。試しに「ドゥミバゲット」と言ってみたら半分に切ってくれた。50セント。ものすごく美味しいパンではなかったけれど、バゲットずっと食べたかったので、外のカリカリと中のもっちりを堪能。

午後、昨日ひとか勧められた、作者がホドロフスキーであるらしい公演(これもオフ)のチケットをいえの近所の劇場に買いに行く。関係者割引になるのでIDカードを提示したらチケットカウンターの人が、
「クロード・レジと仕事するって、どう?」
と話しかけてきた。とてもスペシャル、と答える。

夜は、友だちとフェスティバルバーへ。その後打ち合わせを終えた別の友も合流し、結局閉店時間近くまでしゃべる。


07/20/2014(日)

11時から子供向けの公演を観劇。知り合いが何人も来ていた。映像や録音の音声とやりとりする作品で、自分がやっているアンドロイド演劇との共通点などを考える。外か隣かでだれかが金管楽器を吹いている音が常に聞こえていて、かわいそうだし残念だった。この公演では開演前に「ノンメルシー」の宣言文はなく、終演後、出演者の一人が映像で登場して、現在の状況、なぜ戦っているのかということを説明していた。

チケットセンターに行き、あらたにSUJETS A VIFという2本立て公演(?)を予約し、予約してある全部のチケットを購入。ここに来るのも今日で最後になるのか?

劇場に出掛ける頃、天気が急変し、雷を伴う大雨となる。野外公演観劇用に持ってきているビニールのレインコートを羽織り、濡れてもいいように足元は裸足にビーサンで劇場入り。公演中にも雨音がしていたけれど、終演する頃には晴れ。

一旦帰宅して、晩ご飯をつくって食べていたらゆっくりしすぎてしまい、開演20分前に慌てて飛び出し、法王庁の中庭での「I AM」に奇跡的に間に合う。ニュージーランドの作品。これが、繰り返しの大好きな私でさえ耐えられないくらいの繰り返しの連続(ダンスの動きにしろ、歌の調子にしろ歌詞にしろ)で、字幕をつけずにゴリゴリッと全体を観客に提示する態度には賛成だけれど、あまりに歩み寄りがなく、喰いついていけない。途中で帰っていく人も多かったし、終演時、「ブラボー」の声と同時に「ブー」「ブー」とブーイングの声もあがっていた。退場の途中で舞台前を通るときに舞台上の出演者たちに向かって親指を下に向けたハンドサインをしている人もいた。

出口でばったり会った友だちのアパートに寄って、風邪引いちゃった人のために自分のアパートから総合感冒薬を取ってきてあげたり、友達にパスタをご馳走になったりし、その後別れて一人フェスティバルバーへ。一週間以上こちらにいるけど、ここに来るのは初めて。中で友人と会い、なんだかんだ話して気づくと午前2時を過ぎていた。


07/19/2014(土)

朝、久しぶりに玄米を炊く。ちょっと食べて、劇場に持っていくおにぎりを作って、後は冷凍。

ちょっと友だちのお手伝いをして、お昼をおごってもらう。海老のグリルとカフェグルマン。炭酸水もつけちゃった。ごちそうさまでした。

劇場では、きょうから腹筋の会に参加。静まり返った劇場の舞台袖で、うんうんはぁはぁしながら腹筋運動をする会です。腹筋は今年の私の目標の1つだからな。

終演後、オリビエ・ピィの「VITRIOLI」を見に行く。チケット取れなくてあきらめていたんだけど、おととい、ゆずってくれるという人がいて見れることになった次第。城壁の外で、地図の感じと少し違うということは聞いていたけれど、本当に心細い感じの道中で、「室内」チームで一緒に行く人がいたから良かったけど、1人だったらたどり着けなかったかも。

VITRIOLIは、膨大、高速のギリシャ語の台詞に圧倒され、フランス語字幕を読むことはほぼ放棄。黒土の舞台の、暗いけど攻撃的な照明、耳障りな音響の中、暴力的なこと威圧的なことが展開されていく。どう考えても私の得意分野ではないんだけれど、しかも言葉がわからないので内容がまったくわからいなんだけれど、それでもほぼ全編興味深く、身をのりだすようにして見てしまった。

できればもう一度見たかったTHE FOUNTAINHEADは、きょうで公演が終わってしまった。体調万全で4時間半見られたらよかったなぁ。


07/18/2014(金)

はじめての休演日。相変わらず早朝(といっても7時頃)目がさめてしまう。レ・アル(市場)に行って、パンと野菜を購入。パン・オ・ショコラを食べながら帰る。パンと味噌汁(タマネギ、ニンジン、ズッキーニ、トマト)で朝食。

11時から、演出助手で実は映画監督のアレクサンドル・バリーの映画を映画館で見る。法王庁の脇の、ユートピアというおしゃれな映画館。カフェもステキそうだった。「室内」の人、マハの人たちと会う。上映後にはアレクサンドルとレジさんが観客の質問に答える、rencontreというセッションあり。Rencontreという言葉、そういえば以前も聞いたことがあったけれど、当時はフランス語にまったく興味がなかったのであまり気に留めていなかった。本来的にはどういう意味なんだろう。日本のQ&Aと違って、「これでお答えになったでしょうか」も「ご回答ありがとうございました」もなく、質問→答え、次の人の質問→答え、とさくさく続いていくのが興味深かった。

ランチは何人かで地中海料理。初日に私も食べた海老は、gambasと書いてこのsは発音するということなどを、フランス語の師匠に教えてもらう。師匠は、炭酸水を注文したときの発音も直してくれた。私は冠詞がuneなのかunなのかということですでに手一杯なので、そのuneの発音は違う、というのを今言われてもあまり有難みがない感じではあったけど、こういうことを指摘してくれる人がいることがどれだけ有難いかというのはわかっているつもりです。ありがとう。

皆と別れて、炎天下、チケットセンターへ。街の地図がやっとだいぶ頭に入ってきた感じがする。こないだ雨で中断して再開しなかった「Lied Ballet」のチケットの払い戻しなど。予約してたチケットの購入は、とりあえず24日のオリビエ・ピィのだけと思ったら、予約してる全部の分をまとめて買わなきゃダメと言われる。ここにはもう4回くらいチケットを買いに来てるけどそんなことを言われたのは初めて。でも、いかにも新人らしい、何か言われるたびにわかる人に聞くため席を立つ人だったので、「前にもそうやって買っている」とか言っても埒あかんだろうと思い、今日は購入を断念。

18時からは、「At the Same Time We Were Pointing a Finger at You, We Realized We were Pointing Three at Ourselves...」というダンス公演を見た。客席に乱入する冒頭から観客をきゅっとつかんでいっていた。構成やストーリー性のある公演自体よりもカーテンコールの超絶技巧オンリーの部分のほうに心を奪われている私は、どうかしてるのかもしれない。

一旦帰宅して簡単な食事をし(徒歩15分というのが有難い。このアパート、大変便利)、さっき公演を見た界隈にもう一度出掛ける。22時から、「Haeeshe...」(本当は2個めのeにアクサンテーギュ(みたいなもの?)がついている)というエジプトの公演を観劇。16日にレセプションのあった中庭の一角にベンチを並べた客席が作られている。見上げる舞台には半円形に木の椅子が十数脚並べてあり、背後の壁にビクトル・ユーゴーの言葉が映し出されていた。赤い正方形のマークもあったから、この作品の一部ではなくてアンテルミッタンの関係のものかもしれない。と思っていると、登場した出演者が全員、あの赤いフェルトのマークを身につけていて、「ノンメルシー」の宣言文の朗読はなく、あぁ、ここの会場ではああいう形でやることにしたんだな、と思う。

進行役の人はずっとフランス語で、この歌はいつの時期の何を歌ったものですとか、当時の政治の状況などを説明していたようだ。それに促されて、一人が立ち上がり、歌を歌ったり、皮肉のきいた(たぶん)こばなしをしたりする。なんというか、五反田怪団のような構成の公演。楽器の人4人を含め、みんなでリズムをとって歌ったり手拍子したりするのは楽しいけれど、内容がちゃんとわかっていればきっと手放しで楽しむようなことではないんだろうなと思う。字幕付きで日本で公演してほしい。


07/17/2014(木)

ツイッターにハルロックの話題がたくさん出てて、「あぁ、木曜日なんだ。こちらに来て一週間たつのか!」と思う。

今夜は、9時開演の「The Fountainhead」という公演を見に行く。パリ在住の友だち一押しのオランダの演劇人Ivo Van Hoveの作品。会場内に入ると、どうやら会社のオフィスらしい舞台上にすでになん人か人がいて、立ったりしゃがんだり楽器の様子を見たり客席の様子を見たりしている。オフィスらしい、というのは、セットもそうだし、舞台上にいる人たちもワイシャツに長ズボン姿だから。巨大画面に客席の様子が映し出されたり。舞台上方にもカメラがあるらしく、舞台面や楽器を演奏している手元なんかも時々映っていた。ずいぶん大掛かりなセットなんだけど、これが全部高校の中庭、つまり野外に組んであることに、感動すると同時にそれにどういう積極的な意味があるのかな?などとも考える。

始まってみると、何をどう見せるかという構成・演出がものすごくしっかりした作品で、俳優の演技もうまくてかっこよくて、オランダ語の台詞の響きが心地よく、フランス語の字幕を追うのがもどかしく(どう頑張っても2割くらいしか判らない)、夢中で見ていたら20分の休憩となったのが11時過ぎ。

休憩中、舞台上ではセットチェンジが行なわれ、開演前と同じようにワイシャツに長ズボンの人たちが小道具を配置したり、置き道具をしまったり出したり、バナナを食べたり立ち話をしたりマグカップにお湯を注ぎにきたりしていて、見飽きなかった。開演前にはみんな出演者かと思っていたけど、いまよく見ると、インカムつけてる人はスタッフだね。板付きの女優さんの準備を、その女優さんと舞台監督っぽい人と衣裳っぽい人の3人でやっている姿なんかが面白かった。

2幕めが始まったのが11時半で、上演時間3時間半とのことだたから「さぁあと1時間!」と思っていたら、終演してみたら午前1時半! 後半は朦朧としてしまって、気づくとオフィスが爆発(?)していたり、女の人が血まみれになっていたりという断片的な記憶しかないけれど、この上演に立ち会っているということの「参加」感が圧倒的だった。長いこと自体に意味があるような気持ちがしてきていた。隣の席の見知らぬ人と、寄りかかっちゃってゴメンね、いや平気だよ、と言葉を交わす。

会場近くのアパートに滞在している友と窓越しに感想を一言交わして帰宅。幸せな気持ちと裏腹に身体はガチガチでなかなか眠れず、起き出してテニスボール指圧でお尻や背中をほぐして、ようやく眠りについた。


07/16/2014(水)

「10時にメリーゴーランドで」という、デートのような待ち合わせで友と会い、お茶。お互いの近況の交換など。途中で合流した友の友は、思いのほか私と共通の話題が多く、「エースをねらえ!」のバケツのたとえで語学学習を語って理解してもらえたりして嬉しかった。元からの友をA、きょう新しく会った友をBとすると、Bはすでに「室内」を見ているので私とBは「室内」の話をしたいんだけど、ネタバレに厳しいAがまだ「室内」未見のため、内容に触れる話ができなかった。それが少し残念だった。

友おすすめの店でランチして、デザートにカフェグルマン(エスプレッソにミニデザートがいくつかついてくるというもの。そういえば前にパリで別の友だちが頼んでた)。

時計塔広場の時計塔がどれなのかを新しい友だちから教えてもらい、その後一人でチケットセンターへ。上演カンパニーである私たちは、一般チケット販売窓口とは別のとこに行くんだけど、そこの受付のお兄さんが私の顔を覚えていて、「チケット購入ですよね、どうぞ」的にさっと通してくれた。よく行ってるもんね。来る前にお願いして取れなかったオリビエ・ピィの「La Jeune Fille, Le Diable et le Moulin」の予約が取れた!

今日はマハーバーラタが休演日で、マハの人がたくさん「室内」を見に来てくれた。数日の予定で昨日から来てる別の友だちも今日観劇。一瞬皆の顔を見てから、ダメ出しを聞くためすぐ楽屋に戻る。

帰宅後、オフのダンス公演を見に行くという友に同行。この道なら知っている、と言って散々友を引き回してしまった。で劇場に行ってみると、だいぶ長くやっていて疲れちゃったので今日は休演ですと言われ、アパートに戻り、夕食。きのうアヴィニョン入りした友となかなか連絡が取れずやきもき。それでもやっと連絡がつき、同宿の友と一緒に友だちのアパートを訪ねる。この道なら知っていると言ってまた引き回してしまった。

そしてその後、フェスティバルのレセプションというのに行く。開始時間が夜中の12時半! 私はもうご飯が済んでしまってるので、炭酸水飲んでデザート食べて、いろんな人としゃべる。マハーバーラタの人、東京都の視察の人、大学の先生がた、パリの劇場の人、若い俳優。「マハーバーラタ?」と話しかけてきたフランス人の男女は、俳優だそうで、「室内」だと言ったら、「クロード・レジとやって、どうだった? やっぱり、全然ちがう? 人生変わった?」と瞳をキラキラさせて質問してきた(フランス語が突然よくわかるようになったわけじゃなく、そのとき一緒にいたフランス語のできるかたが通訳してくださった)。

そんなこんなで気づくと午前3時過ぎ。あわてて帰路に着くも、2つめの角を逆に曲がったらしく、どこにいるのかわからなくなり、友と地図を広げていると通りかかった一杯機嫌の坊主頭のおじさんが、「ペルデュー?」と聞いてきた。「道に迷ったの?」という意味であることは前にも聞かれてわかっていたので、「ウィ!」と元気良く答え、「ウ エ…」と言い始めたら、「ウ ソム ヌ」(私たちはどこにいるのですか)と正しい言い方を教えてくれ、地図を見てくれたんだけど自分もよくわからず「で、どこに行きたいの?」というので、通りの名前を言ったら、「ここを300メートルくらい行って、左」と今度は英語で教えてくれた。アヴィニョンの人、ありがとう。おかげさまで無事に帰宅。


07/15/2014(火)

チケットセンターへ。THE FOUNTAINHEADの予約を、15日(きょう)から17日に変更してもらう。あと、新しく、20日に子供向けの公演を見ることにした。

「室内」初日。演出助手のバリーに、「緊張してる?」と聞かれ、「してるけど、これは良い緊張」と答える。tracという言葉を覚えた。

初日の客席は、緊張と前向きなあたたかさがあった。初日乾杯で、むかし仕事をしたフランス人演出家にばったり会って、わー、久しぶり、元気?と言い合った後、彼に、
「マチコはアヴィニョンで何をしてるの?」
と聞かれた。あなたが今見た公演に出てましたがな。全体に照明が暗めだし、日本人は皆同じように見えるのかもしれないし、だいたい私はほんの少ししか舞台にいないからね、わからなかったんだろうね。そういえば去年の静岡の公演のときも、終演後に友だちをバス停まで送っていったら別の友だちに会って、
「マチコさんも見てたんですか『室内』?」
と言われたな。あ、その友だちも演出家だったなそういえば。


07/14/2014(月)

祭日で、今日も1時間に1本しかバスがない。

ゲネプロ。その後も稽古。さらにその後、私は「マハーバーラタ」観劇。観客用のシャトルバスに間に合わない時間になってしまったので一時は観劇をあきらめなければいけないかと思うも、いろんな人の親切のお陰で無事に石切り場(「マハーバーラタ」公演会場)に到着し、5月に静岡で見たのとはまた少し違うアヴィニョンの「マハーバーラタ」を堪能。360度舞台があるのに後ろを振り返って見る人がほとんどいないことを不思議に思っていた(私はガンガン振り向いていた)んだけど、あとで人から言われて理由がわかった。大半の人は、フランス語字幕を読んでいるから、後ろ向いたら台詞がわからなくなっちゃうんでした。

夜12時過ぎに公演が終わり、シャトルバス第2陣を待って市街地に戻ったら午前1時半だった。きょうは7月14日だから、あちこちで花火があがるよ、と言われていたんだけど、ちょうどマハと時間がかぶったらしく、まったく見かけず。


07/13/2014(日)

ばったり会った友とチケットセンターへ。友のルートは、私がいままで通ってた道とちがう楽しげな道だった。二人とも今夜の公演の予約済みチケットの引き取りをしたかったんだけれど、きのうストで公演がキャンセルになったため変更返金のお客様が多く、係りの人に「現金またはカードを持って直接劇場で払ってください」と言われて帰る。途中、フェスティバルのショップでTシャツ購入。ひょっとして、と思い、「アーティストディスカウントはありますか?」と聞いたらあって、パスカードを見せて20%引きにしてもらった。さらに市場で野菜やパンを買って帰宅。

午後は別の友とOFFの演目「CINQ JOURS EN MARS」を見に、うちの近所の劇場へ。私たちは昨日チケットを購入していたので良かったけど、当日ねらいで来た人はキャンセル待ちになったと言っていた。岡田利規さんの「三月の5日間」です。同じ劇場でこれの前にも後にも他演目の公演があるので、素舞台みたいな感じかなと思ったら、「セット」はたしかになかったけれど結構大掛かりな仕込みだった。このフランス人の俳優たちは「シブヤ」「アキハバラ」「ロッポンギ」と言いながらどんな世界を想像し構築しているんだろう、と思いながら見ていた。

帰り道、さらに別の友(観劇のためにアヴィニョンに来ている)と道でぱったり遭遇。やっぱりご近所さんなのね。

17時からの稽古のため、15:19のバスに乗る。ちょっとこれでは早く着きすぎる(所要時間20分)んだけれど、日曜祭日は1時間に1本しかバスがなく、その次の16:20とかだと不安だったので。パン、バター、お菓子などの「お弁当」持参。

きのうの稽古で、劇場にあわせて声の大きさの調整があり、それで、今日、舞台裏で聞く皆の声が、いままでと別の作品のような響きだった。私の声の響きも変わった。通し稽古の後、後半をもう1度。メリハリのつく方向性でいくつか指示あり。私たちが歩いて通るところについても、ソフトになってはダメ、「肩の棺が重い」「それでも前に進まなくてはいけない」という演出があらたに加わった。でも実は「あらたに」でもなくて、そういう雰囲気の役割であることは前々からレジさんは言ってきていて、そのレジさんの描いているイメージを私たちにわかってもらおうわかってもらおうわかってもらおうと言葉を重ねる、ということをレジさんはずっとやってきているんだと思う。俳優が理解していなかったら別の言葉で言う。指示にしたがいすぎてあらぬ方向に行き始めたらそれを修正する方向で説明する。忘れていたらまた言う。本当に忍耐強い演出家だと、いつも思う。

稽古のあと、LIED BALLETというダンス公演を見に行く。開演前に、「ノンメルシー」で始まるアンテルミッタンの宣言文の録音が流れる。マハーバーラタの人たちから聞いてはいたけれど、これがそれか。今回、フェスティバル自体中止になるかもとか、いろいろとニュースの切れ端は聞こえてくるんだけど、どういう規模のどういう感情のものなのか、現地入りしてようやくじわじわ感じられてきた。LIED BALLETは、15分くらい進んだところで、雨のため中断。リノリウムの床を拭いて、もう1度始めからやりなおす。さっきよりいくらか進んでくらいで、再度雨のため中断。ダンサーが足をすべらせてたもんね。「20分で雨がやむという予報なので、そのあと続けます」「いつ雨があがるかわからないので、屋根のあるところでお待ちください」「あと20分ほどで雨がやむとのことですが、舞台の整備にそれから20分ほどかかり、その後再開します」などとアナウンスが入る。フランス語のわかる友人と一緒だったので内容を教えてもらえたけど、言葉がわからなくて1人だったら何が何やらわからずに不安だったにちがいない。10時開演の公演だったんだけど、中断したまま11時半になり、私たちはあきらめて帰ってしまいました。

家に帰ったらお客さんが来てた。お腹がすいていたので、モロッコインゲンをゆでたり、ポテトサラダを作ったりして私も参加。モロッコインゲンやわらかくなりすぎた。


07/12/2014(土)

クレジットカードをどうも紛失したらしいので、カード会社に電話してとめてもらう。これから3週間、手持ちの現金でなんとかしなければならない。羽田で多めに両替しておいてよかった。カードの紛失は、20年ぶりくらいだ。よくいままで頑張ったと思う。

いまアヴィニョン演劇祭は、アンテルミッタンの問題で、いろいろと話し合ったりストをしたりしているようだ。その関係もあってその日その日の変更は難しく、稽古時間が17時〜21時に固定される。あら。いままで15時〜19時くらいだったので、夜に観劇予定を入れてしまってるところもあるので、変更しなければ……。


07/11/2014(金)

台風直前の日本、雨のパリを経てマルセイユに着くと、快晴。「南仏!!」という感じ。フェスティバルの用意してくれたバンに分乗してアヴィニョンへ。

今回の宿泊は全員一緒ではなく、なん人かずつで一軒のアパートなり家なりに住む。私は、俳優3人でのアパート住まい。近所の市場やスーパーを教えてもらい、3人でランチ。の後帰宅し、ジャンケンに勝った人から寝室を選ぶことになり、中庭に面した静かそうな部屋に落ち着く。荷解きに夢中になっているうちに、稽古に行く時間となる。私がもたつつき、バス停まで3人で走る。バス停でフェスティバルスタッフや他のツアーメンバーと合流。アヴィニョンでは乗る意思表示を明確に示さないとバスは止まってくれないらしいけれど、それにしても10人以上の待つバス停で速度をゆるめるでもなく走り去っていくバスにフェスティバルスタッフ大憤慨。バス会社に報告すると言っていた。

稽古の後、街に出て、ベトナム料理を食べる。


07/10/2014(木)

台風接近中。迷いのない荷造りを終えて計量すると、受託23kg(最大許容量ピッタリ)、機内持ち込み7kg(問題なく範囲内)。こんな簡単にすんでよいものだろうかとかえって不安になるけれど、不安になっててもしかたないのでそんなもんだと思うことにする。

雨が降り出す前にと早めにいえを出る。すごい風。予約を1本早いバスにかえってもらって空港に向かう。バスの中、寒し。今回「アヴィニョンは暑い」とさんざんいろんな人から言われて暑さ対策のことばかり考えていたけれど、Tシャツに薄手のシャツ、パーカーと重ねて、これが今回持ってる重ね着のいちばん厚着で、これ以上の防寒対策がないことにちょっと不安になる。すぐ不安になるのはやはり出発に緊張しているの、か?

バス運行状況に問題なく、予定時刻に羽田空港到着。集合時間まで2時間ほど。両替したりなんだりしていたら結構すぐだった。

飛行機は、3列席の窓側、隣が同じツアーのメンバー、通路側は知らないおじさん。そのおじさんが離陸直後から熟睡し続け、トイレに立つことままならず。それが少し不便だったのと、後半身体がこってしまってめまいがしたのとで、すごく快適というわけにもいかなかったけれど、無事にフランスに到着。風が強かったとかで予定より1時間半ほど早く着き、シャルルドゴール空港で雨を見ながら4時間ほど過ごす。


07/09/2014(水)

Pカンパニー「スパイものがたり」観劇。


07/08/2014(火)

ジャイロキネシスの後、契約更改のため事務所に。今年もよろしくお願いします。

夜はSTスポットで東京デスロック「CEREMONY セレモニー」観劇。


07/07/2014(月)

夜、無隣館の蜂巣ももさんの稽古場見学。演出家と俳優と一対一で、話しながら進めていってた。


07/06/2014(日)

森川クラスで知り合った人に誘っていただき、ユーロスペースに小川伸介「1000年刻みの日時計 牧野村物語」を見に行く。稲作についての教育番組みたいなとこがあったり、村の人が昔の話を再現してみせたり、俳優が登場したり。上演時間222分(てことは、3時間41分)というのを知らなかったので、「休憩」となったときすでに2時間経過していてビックリした。誘ってくれた人と、別々に会場に着いて、終映後も会えなくて、すれちがいっぱなしの不思議な午後だった。


07/05/2014(土)

歯医者。知覚過敏の薬を塗ってもらうなど。


0704//2014(金)

森川クラス。


07/01/2014(火)

ジャイロキネシス。


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