つれづれなる日々

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2007年11月の日々

気ままに編んだマフラー


11/30/2007(金)

アゴラにて、劇団桃唄309『三つの頭と一本の腕』高校生版観劇。高校生がここまでやるんだなぁ。俳優ってなんなんだろなぁ。この高校生に、私、勝てるかなぁ。

と感心ばかりもしていられない。『隣にいても一人』英語版リーディングの自主稽古をする。きょうは、2回、通して読んだ。いままで翻訳者とキャストで台本の吟味も行ってきたんだけど、やっぱり実際に読んでみると、前には気にならなかったところが気になったり、台詞のつながりがギクシャクしているところに気づいたり。みんなして、俳優的な見地と翻訳者的な見地の両方からなんだかんだ言いながら、作業を進めている。こういうのって、なかなか新鮮。


11/29/2007(木)

夜、英訳関係のミーティングがあって、それまでに戯曲1冊目を通してチェックしなきゃいけないんだけど、実はまだぜんぜん手をつけてなくて、きょう1日でなんとかしようと5時間ほどがんばったけど、全体の1/3くらいしかできなくて、そんな状態でミーティングに臨んだらでもみんなからいろいろと貴重な意見が出て、英訳の吟味自体全体の2割くらいまでしか進まなかった。でも、この会、やってよかった。前々から私は、翻訳は、みんなでよってたかって意見を言ったほうがクオリティーの高いものができる(ただし、もちろん、中心となって最終的にいろんな案の取捨選択をする人は必要)と思っているのだけど、きょうの4人の会はホントにそういう現場だった。


11/28/2007(水)

夜ワークショップ研究会で「私がやりたいワークショップはこういうのです」という10分間のプレゼンをすることになっていて、そりゃここんとこずっとそれについて考えてはいて、いろいろメモしてはいたんだけど、最終的な資料の作成、話す内容のまとめは、結局きょう一日でガーッとすませる。今週は、毎日1つ締切りがあるというような多忙なスケジュール。1つ1つこなしていくのみ。ファイッ!

プレゼンは、緊張で声が終始うわずっていたけれど、ときどき口もまわっていなかったけれど、10分でどれだけしゃべれるかというのを3回ほど検証してから本番に臨めたので、まぁ、言いたかったことは言えたように思う。


11/27/2007(火)

ふじみの公演に、さいたまゴールド・シアターのかたが参加していて、『蜷川幸雄と「さいたまゴールド・シアター」の500日―平均年齢67歳の挑戦』という本が出ていると教えてくださったので、買って、ゆうべ読み始めたら途中でやめられなくなって、1冊全部読んじゃった。

そして、ぷりずむてんの稽古に行く。バス、便利。稽古は、どうだろね、少し停滞気味だったような気がする。公演までの過程でそういう時期でもあったんだろうけれど、睡眠不足で私の脳がスローモー(って最近聞かないね?)だったのもたしか。申しわけないです。とはいえ、いろんなことが結構決まってきて、次回までに各自でなにを準備するかもはっきりして、うん、だいぶ進んだ。


11/26/2007(月)

フェルト、フェルトと騒いでるのは、こんなものたちです。

こんなの作ってます、最近。ブタは6センチ、『三人姉妹』ミニタペストリーは20センチ(いずれも、幅)。あらら、ミニチュア寿司の一番奥のヤツはイクラ軍艦巻きのつもりだったんだけど、納豆みたいに見えるわね。

きょうは、キラリ☆ふじみで創る芝居のワークショップで富士見へ。行きの電車移動中に、前回からみんなでやっているシーン(全員で、男性はロミオ、女性はジュリエットの台詞を言っている)の台詞を頭に詰め込む。いままで、発話の根拠とか意識の流れの変化とかを考えながらこの台詞を覚えようとしてうまくいかず、最近は忙しさを理由に練習もしないじゃっていて、当日のきょうになって慌てて覚えているというだらしなさ。それでも、電車での1時間半と劇場についてからぽっかりあいた1時間で、語呂合わせやイメージの連想や総動員して、なんとかかんとか覚えた。火事場の馬鹿力。


11/25/2007(日)

フェルトがおもしろくてしょうがない。きのう立体の仔豚を作り、きょうは『三人姉妹』をモチーフにしたミニタペストリーなんか作ってみちゃった。フェルティングニードルでグサグサグサグサ刺してるうちに羊毛の繊維が互いにからまってフェルト化して質感が変わってくるのが、ものすごくおもしろい。

その仔豚は、きょう会う友にあげようと思って、でもバッグに入れたらつぶしそうで、シャツの胸ポケットに入れていって、「はい」ってあげた。なんかそういうのも楽しい。


11/24/2007(土)

夕方用事で渋谷に行く。文字通り、街に人があふれてる。連休のせいらしい。北の友と、打ち合わせと食事と飲み。


11/23/2007(金)

新国立劇場に、友の出演している異人の唄を見に行く。

夜、1月にアゴラである『隣にいても一人』東京公演(全国8バージョン大集合)のミーティング。英語版リーディングで参加するので。帰りに、友に教えてもらったバーに寄ったら、立ち飲みの店で、ギネスの本物のサーバーがあった。稽古帰りに寄ってギネスきゅーっと1ぱい飲んで帰るなんてステキなことが、できるね。これはよいお店を教えてもらいました。

こないだぷりずむの稽古でやったシリアスっぽいやりとりが、頭の中でなんだかもやもやとイメージが広がり、テキストに起こしてみたくなって、きょう電車移動時に手帳に書き始めたらどんどんどんどん書いちゃって、いえに帰ってから、パソコンでちゃんと書いてみた。時間をはかりながら声に出して読んだり、直したり、また読んだりしてたら、午前5時過ぎちゃった。うわー、書き上げて達成感あるけど、どうなんだろ、出来的には。いまは判断できないので、寝て起きることにしよう。


11/22/2007(木)

ぷりずむ稽古。片道600円掛かる経路だったら間に合いそうだったんだけど、ケチって410円で行ける経路を使ったら遅刻しそうになり、結局駅からタクシーに乗った。馬鹿。ネタ出し、だいぶ進む。じゃぁちょっとやってみようかってその場で即興でやってみたり。シリアスっぽいのを配役を変えて2回やったのが面白かった。これ、決める前に、3人3役全部やってみようよ。

稽古終わって帰ろうかと思ったら、山の手事情社の研修生稽古が見学できると聞き、いきなりおじゃまする。身体訓練と発声とエチュードで4時間弱。いろんな人がいて、のびのびと課題をやっていた。こないだ表現言語学会で、インプロのワークショップをした人たちが、言語学習がスムーズに進むためにはラポールを確立することが大切って言っていたけど、ラポールが確立されてるってこういうことなんだなぁと思った。そんなこととか、自分の身体のこととか、いろいろ考えながら見ていたんだけれど、最後のエチュードはただもう面白くて大笑いしてしまった。

バスを利用すればけっこう短時間で家に帰れることを発見。次回はバスを使おう。

帰宅し、夜も遅いのにフェルトのミニタペストリーを作ってしまう。土台もホントなら羊毛をせっけん水でフェルト化して作るんだけど「どうせ全部見えなくなっちゃうのに、もったいない」と思い、以前まちがって洗濯機で洗ってフェルト化しちゃったウールマフラーを使用。割とイメージどおりのものができた。ペイントで絵を描くよりフェルトのほうが面白いな。クレパス画と同じくらい面白い。


11/21/2007(水)

羊毛フェルト手芸をやってみたくて、新宿オカダヤで、何をどれだけ買おうか悩みに悩む。結局、見本で置いてあった本を2冊立ち読みして「だいたいわかった」という気になったので書籍は買わず、フェルティング用マット、小さい動物の作れるキット、あといろいろな色の羊毛を買う。こないだ講習会で作ったみたいな、タペストリーのようなものを作りたいのだけど、1つ作って飽きちゃうかもしれないから、まずは小規模に始めてみることにした次第。

そして、キラリ☆ふじみに向かう。きょうはでもロミオとジュリエットとは関係なくて、アゴラのワークショップ研究会でふじみの芸術監督生田萬さんのワークショップを受けることになっていたので。公共ホールとか芸術監督とかワークショップのお話をまずうかがい、その後、生田さんがやっていらっしゃるワークショップの内容をいくつか体験。「登場し、何かを発見し、リアクションし、退場する」というエチュードがあったので、私は「惑星探査中、ダイリチウムらしい石を発見し、トリコーダで成分を調べたらダイリチウムだとわかったので、報告するために去る」というのをやってみた。もちろん、スタートレックを知らない人にはわからないんだけど、トリコーダで調べたってところを、
「センサーだね!」
と言った人がいて、見てわかってもらえたんだなーと嬉しかったです。

帰宅し、夜も遅いのにキットのクマを作ってしまう。ふわふわの羊毛が、フェルティングニードルで刺していくうちフェルト化して固くなり、ぬいぐるみのように形になっていく。国産みみたいだわ。


11/20/2007(火)

ワークショップ研究会の課題がどうにもまとまらず、逃避して、こちらものばしのばしにしていた事務仕事を片付ける。

夜は、『隣にいても一人』英語版の台本を吟味する会。きょうは後半を、出演者3名(残念ながら1名欠席)と翻訳者で詰める。みんなの意見の出し合いで、台詞がいろんな観点から見直されて、よくなっていく。4人の共同作業。私は元々「翻訳はみんなで意見を出し合ったほうがクオリティーがあがる」という意見なんだけど、きょうはそれがホントに実際に目の前で起こっていたから、嬉しかったよ。


11/19/2007(月)

フェルトのワークショップに行ってきた。キットで15センチ角くらいのミニタペストリが作れて、(カフェなので)お茶も飲めて、2,000円。時間は、ワークショップが1時間半。その後、お茶飲んで先生とお話(退席自由)して、私は45分くらいで帰ってきたけどまだいる人はいたみたい。白い四角いフィルトの上に、ツリーやオーナメントにするふわふわの羊毛を置き、フェルティングニードルというものでブスブスブスブス上から刺していくと下のフェルトにひっついて、タペストリーができあがるのです。フェルト手芸って、興味はあったんだけど、いままでやってみる機会がなかった。今回参加して、割とシンプルな道具で始められることがわかり、なんだかいろんなものが作ってみたくなってきた。

日記の記述からは信じられないかもしれませんが、仕事もしています。そして、ワークショップ研究会の課題もある。自分はこういうワークショップをやりたいんですというのを、メーリングリストで表明しなきゃなんない。期限は明日。嗚呼!


11/18/2007(日)

きのう青森の仕事から帰ってきたいえの人が、おみやげににしんのきりこみを買ってきてくれたので、きょうから私はきりこみ祭です。

こないだ友だちが、『HOUSE』の主演のヒュー・ローリーがイギリスの俳優だって教えてくれた。『HOUSE』のハウスはまるっきりアメリカ英語なので、ビックリした。それで、ローワン・アトキンソンの『ブラック・アダー』に出てるよと教えてもらって、youtubeで見てみた。あらー、若い。あらー、一本調子。あらー、ブリティッシュイングリッシュ。80年代にあんなんだった人がいまはこんなんなってるんだねー。はてさて私はどうなんだろう。ヒュー・ローリーってほぼ同じ年代なので、おこがましいけど引き比べて自分のことなんかも考えてしまった。

しかし、youtubeは、やばいね。どんどん見ちゃう。『HOUSE』のNG集、『エンタープライズ』のNG集、『宇宙大作戦』のNG集など、次々見てしまった。でも、きょう一番おもしろかったのは、Star Trek: Time Warpという動画だった。


11/17/2007(土)

死んだ友だちが夢に出てきた。ついこないだに続き、2回め。最近翻訳の仕事をしてるから、通訳・翻訳者だった友だちのことを無意識に思い出しているのかなと思う。こないだの夢では、その子と、小学校の同級生と、2人の友だちが出てきて、私は、あれ、この人たちのうちどちらか1人は死んじゃってるはずだ、どっちの人が死んでるんだっけ?と考えていて、でも事実と逆に、死んだ友だちのほうがたぶん生きてる人にちがいないって結論を頭の中で出していた。今朝の夢では、私は、死んだ友だちの肩を両手でぎゅっとさわって、死んでるのにちゃんと感触があるなぁと思っていた。夢だとわかっていたように思う。

話かわって。昔の中国の話かなんかで、こんなことしてくれていいヤツだなと思われたけど仲が悪くなってからは同じことについて「あのときはあんなひどいことをしやがってなんてヤツだ」と憎まれたみたいな話を、何度かウェブ検索してみたけど見つからないでいたんだけど、きょう「食べかけの桃」というキーワードで検索してみたらあっけないほど簡単に見つかった。「余桃(よとう)の罪」というそうな。なんかさ、人にものを言ったりメールを書いたりするときに相手がどういう解釈をするかは計りしれないんだよ、という教訓として覚えておこうと思ったんだ。


11/16/2007(金)

あなざ事情団ミーティング。3月の公演に向けて、稽古スケジュールの調整など。3月に帯広(3/15、16)と大阪(3/21、22)で『三人姉妹』を公演するので。淳子さんと私が12月に『ぷりずむてん』がある他、3人とも(別々に)2月に他の公演が入っていて、あいかわらず稽古・本番の隙間を縫っての稽古となる模様。大変といえば大変なんだけど、でも逆に、とびとびで稽古するから間でいろいろと考えることもできるし、記憶としてもなんだか深いところに記憶されていいのかもしれないね、などと話す。

こないだカナダの友だちが、『ソプラノズ』がすごくおもしろい、過去20年のアメリカのドラマで最高ってくらいおもしろい、脚本がいい、と言っていた。マフィアとかそういう悪い人に感情移入して見るのはイヤだなと思っていままで敬遠していたんだけど、そんなに言うなら見てみようという気になった。で、きょうTVをつけたらやっていたんだけど、あぁ!吹き替えだった。最近は吹き替えでも『ギルモア・ガールズ』とか『トゥルー・コーリング』とか結構いいやつあるけれど、チンピラの人がいかにもチンピラですという台詞・しゃべり方で、きょうのところは興味持てなかった。


11/15/2007(木)

表現言語学会で知り合った人たちに一斉メールを出そうとしたら、エラーになった。どうして? でも時間がなく、一旦中断。

午前中用事を1つ済ませて、2時から12月の『ぷりずむてん』の稽古。稽古といっても、きょうは、アイデア出しが中心。いままでプリズムではこういうことやこういうことやこういうことをした、という話を聞く。真弓さんが過去の資料をきちんと整理してとっといてあるので感心した。

いま私は、12月の『ぷりずむてん』と、1月の『隣にいても一人』英語版リーディングと、2月のキラリ☆ふじみで創る芝居と、3月のあなざ事情団の『三人姉妹』という、4つの公演のことを平行していろいろやっている。それ以外に演劇関係の翻訳のプロジェクトにも2つかかわっている。もちろんそれぞれへのかかわり方の濃さ薄さはちがうけれど、こんなにあっちもこっちもやってる状態ってこと自体が、不思議だったり面白かったりする。学校にも行きたいし遊びにも行きたくて2つの身体に分かれたら10万馬力が5万馬力ずつになっちゃったウランちゃんという、昔読んだ絵本を思い出さないでもないけれど、演劇に限定して考えた場合、必ずしもウランちゃんみたいなことにはなっていないんじゃないかとも思う。演劇方向のアンテナが、相乗効果で敏感になるみたいなことが起きてるような気がするし。それに、仕事がないときは半年以上何も仕事がないので、忙しかったり暇だったりする差の大きさ含めて演劇って仕事なんだろうなみたいなふうにも思っている。


11/14/2007(水)

『刑事タガート』を久しぶりに見たら、ロバート・カーライルが出ているじゃないの。あらららら下の歯が歯並び悪いわね。こんなだったっけ。のちに矯正した? 犯人の役でオーディションを受けて受からなくてこの役になったのかな?という感じの配役だった。マーク・マクマナス(タガート)、かっこいいな。二人並ぶと、カーライルよりかっこいいや。


11/13/2007(火)

お昼に起きて、パソコンに向かって仕事をしたり日記を書いたりしていたら、あっというまに日が暮れて夜になってしまった。いえの人とご飯を食べに行き、帰りに、最近できたイタリアンバールに寄った。コーヒー1杯、ビール1杯さくっと飲んでさくっと帰れる感じがいいね。


11/12/2007(月)

ふじみで2月の公演のワークショップ。台詞をきっちり覚えていけばよかった。その点、反省。忙しくて覚えている時間がなかったというのもウソじゃないんだけど、日常言語とは少しちがう台詞だから一字一句このとおり覚えたいかどうかいままでどうも気持ちが決まらなかったということもあるんです。半分無意識だったかもしれないけど。でもきょう見えてきた方向性を探るんだったら、台詞はちゃんと覚えてるほうがいい。目的意識がはっきりしたので、次回までには台詞を覚えられると思います。ガンバリマス。


11/11/2007(日)

きょうも表現言語学会。きのうは通訳したけれど、きょうは純粋に、皆さんの発表を拝見しに。

1人の持ち時間が30分(発表20分、質疑応答10分)で、午前中4人、午後4人のかたがたの発表を見せていただいた。2会場同時進行なので、発表自体はこの倍あった。台湾の大学で英語科の学生たちと英語劇の上演を行っている先生は、「私は演劇人だけど、語学教師として赴任しているので、上演のために労力を費やしてもなんの見返りもない」と言っていた。しっかりした劇場設備を持ち、衣裳なんて写真にとってデータベース化してるくらいちゃんとしているのに、近いうちに大学の意向で劇場がなくなってインフォメーションセンターだかなんだかになってしまうそうだ。残念なことである。

秋田の大学で、日本語学習者と英語学習者両方が日本語と英語で台詞をしゃべるバイリンガル方式でシェイクスピア劇を上演したという発表もおもしろかった。語学学習云々よりも、演劇として、どうシェイクスピアと取り組んだらいいのかみたいなところが、いまの私には参考になった。非等身大の台詞には非等身大の感情が必要、という説明に納得。午前中の発表4つのうち、台湾の事例以外は実際に学生が発表なり公演なりしている様子を示す静止画も動画もなかったので、イメージが少しつかみにくかった。

お昼の時間に、発表者、参加者など新しく何人かのかたと話す機会があった。語学学習関係のかたなんで、演劇の人間と会う機会はあまりないそうで、なんだか質問に答えたりするだけで喜んでもらえた。

午後の発表では、スポーツの実況中継の言葉の特徴の研究、「目上の人をほめる」ときの日本語表現の特徴の研究の発表がおもしろかった。イギリスではシェイクスピアの学習が義務化され、テストでいい点を取るためにシェイクスピアを学ぶようになってシェイクスピア嫌いが広がった、というのも、知らない内容だったので興味深かった。

また、特定の文法事項とか音声の特徴を教えることと自然な日本語とは、必ずしも相容れない、といことも、あらためて確認。このあたり、演劇が役に立つことが今後できる分野なんじゃないだろうかと私は思っているわけです。「まずいバナナとリンゴを食べた」という文を、バナナだけまずかったのかリンゴもバナナもまずかったのか言い分けることができるようにするのが従来の語学教育なみたいなんだけど、分かりやすい文を作るという方向にもっていく(「リンゴとまずいバナナを食べた」と直す)ことを考えたり、「まずいリンゴとバナナを食べた」ともし言ったら「え?まずかったのはリンゴだけ? バナナもまずかったの?」と聞き返されるからじゃぁそれにはどう答える?という方向を検討したりとか、そんなことがやっていけたら面白いだろうなと。

最後のプログラムは、インプロのワークショップ。「失敗しても大丈夫だ」という雰囲気をつくる、ブレーンストーミングで自由な発想を促す、等々、インプロの特徴とそれを語学教育にどういかせるのかということが、よくわかった。私はインプロというとなんだかそれ自体が目的化しているような、なんだろ、異様に元気のよい仲のいい人たちの集まりなんじゃないかみたいな先入観があって、正直ちょっとコワかったんです、いままで。でも、「自分はものすごい緊張しいで、子供の頃泣きながら作文の発表をしたくらいだった」という人がいま堂々とインプロワークショップを進めているのを見たり、こういう問題があるときこのようなインプロをすると生徒がこのようにかわってくる(ので語学学習がうまくいく)というわかりやすい説明をきいたりして、インプロは有効な道具なんだからそれぞれがうまく使えばいいんだよね、ということで納得がいった。


11/10/2007(土)

雨の中、朝から早稲田大学へ。第一回国際表現言語学会2007年度大会に出席するためだ。早稲田大学が大きくて、早稲田大学のどこに行きたいのかというのをはっきりわからないで適当に行くと目的地に行きつけないことは、以前の経験から知っていた。それでウェブ上で地図を探して、見ながら行った。地下鉄の早稲田駅から「西早稲田交差点」であるはずの場所まで行き、地図を広げましたが、目の前にまっすぐ続いている広い道が、地図に載ってない(というふうに私には見えました)。ぼーぜん。「電気店」も「書店」も、シャッターが閉まっているので看板等の店名だけでなんの店なのかわからない。ぼーぜん。しかしすでに家を出るときに時間を1時間間違えていてけっこう時間がタイトな私。ぼーぜんとしたままいるわけにいかないので、道と道の交差する角度から見当をつけて、ここにちがいないという道を行く。さいわいしばらくすると生協が見えて、あぁこの道でマチガイなかったんだとわかったのでよかったけれど、この地図、わかりにくいです。せめて、西早稲田交差点の先の行くべき道が「グランド坂」という名前の道であるということが書いてあればなぁ、と思いました。後で。

とにかく開会式の途中で無事会場に到着。11時からの基調講演は、急遽通訳しながら聞く。通訳といっても、前に立ってとかではなく、客席で隣の人にボソボソと。というのは、日本語のわからない参加者が1人だけいるのでその人にだいたいどういう話かわかるように通訳してほしい、と事務局長さんから今朝急遽頼まれたのです。スピーカーは、平田オリザ。ていうか、スピーカーが平田オリザじゃなきゃ急に頼まれて通訳なんて私にはできません。要約でいいと言われていたけど、聴衆が笑っているところではやっぱり笑ってもらいたいし、がんばりました。

昼食時、この学会の会長のコーディさんや、昨年カナダのビクトリア大学での大会で大変おもしろい発表をした橋本さんと、1年ぶりに再会。

午後は、パネルディスカッション、研究発表、ワークショップ。ワークショップは、Storytelling for World Peace(世界平和のためのストーリーテリング)というタイトルで、昨年の大会での、「語学学習を始める前に演劇的手法で生徒のモチベーションを高める」実践のワークショップ同様、マインドコントロールにつながっていく可能性を感じ、居心地がよくなかった。音楽を効果的に使っていた点も、似てたな、そういえば。発表者は、自分の主義主張がありそれを広めるためにやっていることだから、そこにだます気持ちとかはないわけで、その点は問題ないんだけど、受け取るこちら側が、この方法は理性とか理解ということと別の側面から自分に働きかけている、意志に反してこの主張を肯定的に受け止めてしまうかもしれない、ということに意識的でいないと、きっと危ない。


11/09/2007(金)

『隣にいても一人』英語版台本を、家で吟味。改定案とか、自分の台詞で読めない単語の発音記号とか、余白に書き込む。机の上での作業だったので紙の辞書を使った。紙の辞書もいいもんだ。

7時からアゴラで、出演する俳優と翻訳者で集まって、読み合わせして、あと、ここはこういうふうに直したいとか、日本語と意味がちがうんじゃないかとか、台本について検討する。できればきょう1日で終わらせたかったけれど、半分までしかできなかった。でも、どういう作業が必要でどれくら時間がかかるのか、ということが見えてきたので、よかったと思う。けど5時間座りっぱなしでミーティングしてたので、終わったあとの疲労感が強かった。『隣にいても一人』英語版リーディング、がんばるぞー。


11/08/2007(木)

最近ずっと根つめてやっていた翻訳の仕事が、きのう突然打ち切りになった。担当者から、

翻訳の件ですが、現時点でできあがっているところまででストップをお願いします。
途中でもかまわないので、できあがっているものをお送りください。
値段の件は、○○から連絡がいくと思いますのでよろしくお願い申しあげます。
という意味内容のメールが届いたのである。パニックしました、私。いま落ち着いて読めばごく事務的なメールだと思うんだけど、きのう読んだときには、わーってなっちゃった。

作業がね、「はいそうですかじゃぁいままでやったとこ送りますね〜」というふうに区切りのつく進め方してないわけです。まず下訳を全部やります。その過程で、辞書引いたり調べ物したりというのを、原文全範囲についてやります。その作業は、わたし、もう終わらせているんです。後は、訳文を読み直して、必要だったら原文をまた参照して、きれいな日本語にしていく作業。これが終われば翻訳完了なわけだけど、現時点で納品できる品質に出来上がってるのは全体の25%くらい。その状態のときに、上のようなメールを受け取ったもんだから、パニックした頭の中で、
「出来上がった分だけ納品しろ!? 条件がかわるんだから当然料金も変わってくるはずなのに、料金によってこちらの対処も当然変わるはずなのに、料金は別の人が担当って、なんじゃこりゃ。なんだこの逃げ方は! だいたい、なんで理由を明記せず中止とだけ言ってくるのか。こないだ私から送った質問のメールで気分を害しているのか?? まぁ最初に料金・納期を決めるときから、かみあってなかったからな。この人はこちらの作業工程に対する理解も想像力もないんだ。こんな人と仕事なんかできないよ」
という嵐がうずまきました。えぇ、妄想です。被害妄想です。そうとう感情的になってます。一方的に傷ついてます。

でまぁ、いえの人に話を聞いてもらったり、別の担当者と電話で話をしたりして、納得のいく解決には行き着いたわけですが、いま一番思うのは、最初にメールを見てパニックした状態で担当者に連絡をとらなくてよかった、ということです。

世界が自分につらくあたってるような気がするときは、ご飯食べてお風呂に入って、寝て起きてから、もう一度確認してみよう――前々からそうだと思っていたけど、やっぱりこの方法論(というほどたいしたものじゃないけどね)は有効だ。


11/07/2007(水)

友から「あかげらぽんちゃんと遭遇しました」というメールをもらって、「あかげらぽんちゃん」を「唐揚げチャンポン」と読んでしまった、起き抜けの空腹の私。


11/06/2007(火)

歯科の定期メンテナンスに行った帰り、インターナショナルスーパーと化粧品店に寄る。前にアメリカの友人にもらったFigamajigsというチョコバーがおいしかったので、日本にも売ってないかと思って探したけど見当たらなかった。化粧品は、最近いつもネットで買ってるんだけどなんかオンラインでうまく注文できなかったので、直営店に久しぶりに行ってみた(どちらも歯医者さんの近所なので)。

で、ファミレスで仕事したり自分がやりたいワークショップ(ただいま開発中。というか、アイデアだけはあるんだけど、具体的にどうしたらいいのか考え中)のことを考えたりして、夕方からは山の手事情社『摂州合邦辻』観劇。犬の衣裳がかっこよくて、ヒゲで長髪ふわふわの犬がクリンゴン人みたいだった。


11/05/2007(月)

家にこもって仕事をしています。

私が混同しがちな英単語シリーズ。aesthetic(美的な)とauthentic(真正の)。目で見ることが多くてあんまり耳で聞かないから、なんとなく字面で似てるように思っちゃってるんだと思う。


11/04/2007(日)

家にこもって仕事をしています。

昆布とブラウンマッシュルームとエリンギと豚肉とホウレンソウを土鍋で調理して食べた。誕生日に友だちにもらったReal Saltで味付けした。おいしい塩だ。ホウレンソウのあくで歯の裏が変な感じになった。

まだ読んでます、ベケット伝。いま1960年代の最後ら辺。いままでベケットは、演出家やプロデューサーに請われてその公演を助けるためにリハーサルに参加するということはあったけど、今度初めて単独で自作の演出に挑戦。しかもドイツ語の公演。そして、稽古中に新しく女の人となかよくなって、公演を見にシュザンヌもバーバラも来て、ベケットさん大忙し。還暦なのにな。視力が落ちたり上顎の手術をしたり、そっちのほうも大変そうだ。それにしても精力的に仕事をして、散歩するのも本気でガンガン歩いているっぽい。なんか、すごいな、ベケット。


11/03/2007(土)

筑波大学附属駒場中・高等学校の文化祭で中学生が『ヤルタ会談』(作:平田オリザ)を上演するというので、友と2人で見にいった。しっかりしてるのか抜けてるのか、本心なのかはったりなのかよくわからないスターリン、3人そろってるときはいかにも頼りなげだけどだれかが中座して2人の会話になると実は鋭いのかもと思わせるルーズベルト、一筋縄ではいかないタヌキ親父ぶりと育ちのよさが共存するチャーチル。すごく面白かったです。俳優もいいし、台本もいいんだと思う。個人的に興味深かったのは、アメリカという国について話す、
スターリン「だって、あの国できてから、二百年もたってないんだよ。」
チャーチル「そうそう、歴史の年表見たらさ、うちから独立したばっかりだよ、あそこ。」
というところがあって、チャーチルの「歴史の年表見たら」というのは、まぁ普通に考えたら「歴史の年表で見たとすれば/歴史を年表にしてみれば」というような意味だと思うんだけど、きょうの中学生チャーチルは、「こないだ歴史の年表で見たら」と言っていたから、自分で実際に年表を見たってふうに作ってるみたいで、中学生にとって歴史年表ってすごく身近なものなんだなぁー、と、そこが興味深かったです。あと、「神風」を平板に発音してた。

『ヤルタ会談』は中学演劇部だったんだけど、それ以外に、高校一年生がホームルームの作品として上演した『御前会議』(作:平田オリザ)と、高校演劇部の『三人姉妹』(作:アントン・チェーホフ)も見てきた。どれも、ほとんど台本の台詞を変えないでそのまましゃべっているのにちゃんとその人なりのリアリティーがあって、私は今度『ロミオとジュリエット』をやるので、すごく参考になった。演劇の発表はこの他にも『生徒総会』や『砂と兵隊』やまだまだたくさんあって、全部見られなくて残念だった。


11/02/2007(金)

翻訳してる記事の中にSensei slippersというのが出てきて、スパの建物内ではこれに履きかえるというんだけど、ウェブ検索しても画像が見つからないので、なんとなくこうかなと予想はできてもいまひとつ決め手にかける。mixiの日記にこのことを書いてみたら、何人かの人が、こうじゃないかという意見やこんなのがあったよというウェブ検索の結果を教えてくれた。はっきりしたことはまだわからないんだけど、このSenseiってやっぱり日本語の「先生」から来てるのかな?などと考えるといろいろと面白い。法被をHappi coat、割烹着をMama-san apronというのと似てるなー、なんて思ったりして。


11/01/2007(木)

いろんなメールに返信しなくてはならないのだけれど、ぜんぜんおっつかない。時間的に余裕がないわけではないんだけれど、気持ちに余裕がない。というか、翻訳以外のことをすると翻訳モードに戻るのに時間がかかっちゃうので、やりたくない。まだまだ甘ちゃんだ。


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